コンテンツにスキップ

数学 C

まえがき

数学 C は新課程で登場した巻。ベクトル(旧 数学 B から)、複素数平面平面上の曲線(旧 数学 III から)が集約されています。

共通テスト数学 II・B・C では「数列・統計・ベクトル・平面上の曲線+複素数平面」から 3 つ選択する形式。ベクトル数学 B の数列とほぼ同じくらい頻出 なので、文系・理系問わず必修と思って取り組みましょう。

🎯 章の目標

  • ベクトルで図形を扱える
  • 内積・外積(応用)の意味を理解する
  • 複素数平面で図形を回転・拡大できる
  • 楕円・双曲線・放物線の方程式を扱える

第 1 章 ベクトル

1.1 ベクトルとは

大きさと向きを持った量」。矢印で表す。

   ●─────────→●
   始点         終点

向きが同じで長さが同じなら、位置が違っても 同じベクトル:

   ●────────→●          位置 1

              ●────────→●          位置 2 (平行移動しただけ)

   2 本のベクトルは「同じ」とみなす

1.2 ベクトルの計算

1.2.1 和

矢印の継ぎ足し」。

   平行四辺形の法則:

         /│
       /   │
      /     │
   b /       │ a (平行移動)
    /         │
   ●─────────●
        a            
   合計 (a + b) = 対角線

   または「継ぎ足し法」:

   ●──a──→●──b──→●
   ↑              │
   └──────(a+b)───┘

a の終点に b の始点を合わせて、a の始点から b の終点までが a + b」。

1.2.2 スカラー倍

長さを定数倍」(負なら逆向き)。

1.2.3 一次結合

\[\mathbf{c} = s \mathbf{a} + t \mathbf{b}\]

平面上で \(\mathbf{a}, \mathbf{b}\) が平行でなければ、任意の \(\mathbf{c}\)\(s, t\) で書ける。

1.3 成分表示

座標を使うと、ベクトルを数の組で書ける: $\(\mathbf{a} = (a_1, a_2) \quad \text{(2 次元)}\)$ $\(\mathbf{a} = (a_1, a_2, a_3) \quad \text{(3 次元)}\)$

1.3.1 計算

  • 和: 成分ごとに足す
  • スカラー倍: 成分ごとに掛ける
  • 大きさ: \(|\mathbf{a}| = \sqrt{a_1^2 + a_2^2}\)

1.3.2 位置ベクトル

原点から点 \(P\) へのベクトルを、点 \(P\)位置ベクトル

2 点 \(A, B\) の位置ベクトル \(\vec a, \vec b\) について: $\(\vec{AB} = \vec b - \vec a\)$

終点 - 始点」と覚える。

1.4 内積

ベクトル同士の似ている度」: $\(\mathbf{a} \cdot \mathbf{b} = |\mathbf{a}||\mathbf{b}|\cos\theta = a_1 b_1 + a_2 b_2\)$

1.4.1 性質

  • \(\mathbf{a} \cdot \mathbf{a} = |\mathbf{a}|^2\)
  • \(\mathbf{a} \cdot \mathbf{b} = \mathbf{b} \cdot \mathbf{a}\)
  • \(\mathbf{a} \cdot \mathbf{b} = 0\) ⇔ 垂直

1.4.2 なす角

\[\cos\theta = \frac{\mathbf{a} \cdot \mathbf{b}}{|\mathbf{a}||\mathbf{b}|}\]

例: \(\mathbf{a} = (1, 2)\), \(\mathbf{b} = (3, 1)\) - \(\mathbf{a} \cdot \mathbf{b} = 3 + 2 = 5\) - \(|\mathbf{a}| = \sqrt 5\), \(|\mathbf{b}| = \sqrt{10}\) - \(\cos\theta = 5/\sqrt{50} = 1/\sqrt 2\)\(\theta = 45°\)

1.5 ベクトルで図形

1.5.1 内分点・外分点

\[\vec{P} = \frac{n\vec a + m\vec b}{m + n} \quad (m:n \text{ 内分})\]

1.5.2 重心

三角形の頂点が \(A, B, C\) の重心 \(G\): $\(\vec{G} = \frac{\vec a + \vec b + \vec c}{3}\)$

1.5.3 直線

\(A\) を通り方向 \(\vec d\) の直線: $\(\vec{P} = \vec a + t \vec d\)$

2 点 \(A, B\) を通る直線: $\(\vec{P} = (1 - t) \vec a + t \vec b\)$

1.5.4 円

中心 \(C\)、半径 \(r\) の円: $\(|\vec{P} - \vec{C}| = r\)$

1.6 空間ベクトル

3 次元への拡張。基本は同じ。

1.6.1 内積

\[\mathbf{a} \cdot \mathbf{b} = a_1 b_1 + a_2 b_2 + a_3 b_3\]

1.6.2 法線ベクトルと平面

平面 \(ax + by + cz = d\) の法線は \((a, b, c)\)

\(A(x_0, y_0, z_0)\) から平面までの距離: $\(\frac{|a x_0 + b y_0 + c z_0 - d|}{\sqrt{a^2 + b^2 + c^2}}\)$

1.6.3 球

中心 \((a, b, c)\)、半径 \(r\): $\((x-a)^2 + (y-b)^2 + (z-c)^2 = r^2\)$

1.7 ベクトル方程式の応用

3 点が一直線上」「3 点が三角形を作る」など、ベクトルで条件を式に直す。

💡 共通テスト頻出 ベクトルは「ベクトル方程式 → 成分計算」の流れ。特定の場合分けと内積計算が頻出


第 2 章 平面上の曲線

2.1 2 次曲線

種類 方程式
\(x^2 + y^2 = r^2\)
楕円 \(\frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1\)
双曲線 \(\frac{x^2}{a^2} - \frac{y^2}{b^2} = 1\)
放物線 \(y^2 = 4px\)

2.1.1 楕円

2 つの焦点からの距離の和が一定」。

            ●(x, y) ← 楕円上の任意の点
          / \
       /       \
   PF1+PF2 = 一定  \
   /                \
  /  ●F1    ●F2       \
  |                    |
   \                  /
    \              /
      \          /
        \ ____ /

  焦点 F1, F2 からの距離の和が常に一定

2 本の糸で釘 2 本に結んで描ける曲線」。長軸 \(2a\)、短軸 \(2b\)、焦点 \((\pm \sqrt{a^2 - b^2}, 0)\)

長軸 \(2a\)、短軸 \(2b\)、焦点 \((\pm \sqrt{a^2 - b^2}, 0)\)

2.1.2 双曲線

2 つの焦点からの距離の差が一定」。

     \       /
       \  ●  /
       /  ●  \
     /       \

漸近線 \(y = \pm \frac{b}{a} x\)

2.1.3 放物線

焦点と準線から等距離」。

2.2 媒介変数表示

曲線を \((x, y) = (f(t), g(t))\) で表す。

例: 円 → \((r\cos t, r\sin t)\) 例: 楕円 → \((a\cos t, b\sin t)\) 例: 放物線 → \((t, t^2)\) 例: サイクロイド → \((t - \sin t, 1 - \cos t)\)(コインが転がる軌跡)

2.3 極座標

原点からの距離 \(r\) と角度 \(\theta\)」で点を表す。 $\(x = r\cos\theta, \quad y = r\sin\theta\)$

2.3.1 極方程式の例

  • 直線(原点を通る): \(\theta = \alpha\)(定数)
  • 円(原点中心): \(r = a\)
  • カージオイド(ハート型): \(r = 1 + \cos\theta\)

2.4 曲線の応用

  • 軌跡を方程式で表す
  • 接線の方程式(媒介変数の場合 \(\frac{dy}{dx} = \frac{dy/dt}{dx/dt}\)

第 3 章 複素数平面

3.1 複素数の図示

複素数 \(z = a + bi\) を点 \((a, b)\) で表す:

   虚軸 y
     ^
     |
    b●        ● z = a + bi
     |       /
     |     /
     |   /  r (絶対値)
     | /
     |/  θ (偏角)
   ──+─────●────→ 実軸 x
     O      a

実数の数直線を 2 次元に拡張」したのが複素数平面。各複素数が 平面上の点 (a, b) として描けます。

3.2 極形式

\[z = r(\cos\theta + i\sin\theta)\]
  • \(r = |z| = \sqrt{a^2 + b^2}\) (絶対値)
  • \(\theta = \arg z\) (偏角)

例: \(z = 1 + i\)\(r = \sqrt 2, \theta = \pi/4\)

3.3 ド・モアブルの定理

\[(\cos\theta + i\sin\theta)^n = \cos n\theta + i\sin n\theta\]

応用: 複素数の累乗、\(n\) 乗根の計算。

例: \((1 + i)^{10}\) - \(1 + i = \sqrt 2 (\cos\pi/4 + i\sin\pi/4)\) - \((1 + i)^{10} = (\sqrt 2)^{10} (\cos 10\pi/4 + i\sin 10\pi/4) = 32 (\cos 5\pi/2 + i\sin 5\pi/2) = 32 i\)

3.4 図形の変換

複素数の積は 回転と拡大 を表す: - \(z' = (\cos\alpha + i\sin\alpha) \cdot z\) → 原点中心に \(\alpha\) 回転 - \(z' = k \cdot z\) → 原点中心に \(k\) 倍拡大

3.4.1 点の周りの回転

\(\alpha\) の周りに \(z\)\(\theta\) 回転: $\(z' = (z - \alpha)(\cos\theta + i\sin\theta) + \alpha\)$

ずらして回して戻す」。

3.5 図形と複素数

  • 直線、円を複素数で表現
  • 3 点が同一直線・3 点が円上 を複素数で判定

共通テスト対策

数学 II・B・C の選択戦略

新課程の共通テスト数学 II・B・C は「数列・統計・ベクトル・複素数平面/曲線」から 3 つ選択。

おすすめ: - 安定狙い: 数列 + ベクトル + 統計 - 理系: 数列 + ベクトル + 複素数平面

ベクトルは 必ず取る べき単元。図形問題で得点しやすい。

ベクトル攻略

  1. 成分計算を素早く
  2. 内積で角度・垂直を判定
  3. 始点をそろえて引き算
  4. 空間でも基本は同じ

複素数平面攻略

  1. 極形式と直交形式の切り替え
  2. ド・モアブルで累乗を即計算
  3. 回転は (cos + i sin) を掛ける

章末問題

  1. \(\mathbf{a} = (2, -1)\), \(\mathbf{b} = (3, 4)\) の内積となす角を求めよ。
  2. 3 点 \(A(1, 2)\), \(B(4, 3)\), \(C(2, 5)\) の重心を求めよ。
  3. \(A(1, 0, 0), B(0, 1, 0), C(0, 0, 1)\) を通る平面の方程式を求めよ。
  4. 楕円 \(\frac{x^2}{9} + \frac{y^2}{4} = 1\) の焦点を求めよ。
  5. 放物線 \(y^2 = 8x\) の頂点・焦点・準線を求めよ。
  6. 媒介変数 \((t - \sin t, 1 - \cos t)\) で表される曲線の名前を答え、\(t = \pi\) での点を求めよ。
  7. \(z = 1 + i\sqrt 3\) を極形式に直し、\(z^6\) を計算せよ。
  8. 複素数平面上で \(i\) をかける変換は何を意味するか?
  9. 三角形 ABC で、\(\vec a, \vec b, \vec c\) を頂点の位置ベクトルとするとき、重心 \(G\) の位置ベクトルが \((\vec a + \vec b + \vec c)/3\) となることを示せ。
  10. 内積を使って「2 つのベクトルが垂直 ⇔ \(\mathbf{a} \cdot \mathbf{b} = 0\)」を示せ。

卒業

これで高校数学のすべて(数学 I・A・II・B・III・C)を踏破しました。

次のステップ: - 共通テスト過去問を解く(10 年分を 2 周) - 二次対策をしたいなら、青チャートまたは Focus Gold - 数学に興味があれば、線形代数・微積分の大学教科書へ(CS 教科書の数学編

🌟 メッセージ 数学は 手を動かして体得する 科目。「読んで分かった気になる」が一番の罠。本書の章末問題を必ず全問解き、共通テスト過去問を解き続けてください。

80 点超えのためには: 1. 公式の意味を理解(暗記だけは脆い) 2. 計算スピード(時間との戦い) 3. パターン認識(誘導の意図を読む) 4. ミスを減らす(見直しの習慣)

1 日 30 分でも継続すれば、半年〜1 年で確実に到達できます。応援しています!